虫歯じゃないのに歯が溶ける??

虫歯じゃないのに歯が溶ける??

酸蝕症ってなに?
「酸蝕症(さんしょくしょう)」とは、酸によって歯が溶ける症状をいいます。
「むし歯」は、むし歯菌がエサである糖を分解するときに作る酸で歯が溶けますが、
「酸蝕症」は細菌が関与しないという点がむし歯と違います。
近年はむし歯、歯周病に次ぐ生活習慣病として注目されるようになっています。
今回は、その原因や症状、対応策を ご紹介いたします。

酸蝕症の原因は?
逆流性食道炎 摂食障害(拒食症・過食症・嘔吐・反芻癖)
酸性の薬剤の服用
ビタミン剤、アスピリン 等
酸の強い食品の摂り過ぎ(清涼飲料水、スポーツドリンク、果物、クエン酸、酢 )

どんな症状が出るの?
・歯が透き通る。
・歯が丸みを帯びる。
・シミやすくなる。
・歯ぎしりなど機械的な力が加わることで、 歯の表面に小さなへこみができる。
・詰めたもの、被せたものが取れやすくなる。

対応策
1ダラダラ食べ、チビチビ飲みをしない。
酸の影響を受けるのを少なくするために食べる頻度は少なくしましょう。
また、口に含んだ時も長い時間口の中に溜めないようにしましょう。

2就寝前に食べる・飲むのは控える。
唾液には歯の再石灰化する働きが ありますが、就寝時は唾液の量が少なくなり、再石灰化が行われません。
唾液の量が少なくなる就寝前は 酸性の飲食物は控えるようにしましょう。

3口の中に酸性のものが触れた直後には歯磨きをしない。
酸性のものに触れた直後の歯は軟らかくなっています。
30分程度時間を置くか、お水で洗口してから 歯磨きをするようにしましょう。

4唾液の緩衝能(唾液を正常なpHに保とう とする働き)を増強する。
牛乳やチーズなど、脱灰を阻害するカルシウムや リンを含む食品を酸性食品と同時に、または食後 に取ると良いです。 無糖の薬用ドロップ、キャンディ、ガム等を食べて 唾液を出し、再石灰化を促すのも効果的です。

5フッ化物を活用する。
むし歯だけではなく、酸蝕症にもフッ素は 有効です。 フッ素入り歯磨剤やフッ素入り洗口剤を 使いましょう。
リカルデント®(CCP-ACP)も酸蝕症に有効です。

最後に
酸蝕症についてお伝えしましたが、「酸性の食品を口にしてはいけない。」という わけではありません。
酸性の食品を食べる習慣があっても、歯に症状がなければ今の習慣を変える必要はありません。
酸蝕症について理解したうえで 食事を楽しみましょう。

<参考文献>北迫勇一:酸蝕症の原因・診断・評価Q&Aで学ぶ9つのポイント、ザ・クインテッセンス 2019年1月号 小林賢一:歯が溶ける!エロ—ジョンの診断から予防まで,医歯薬出版